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酒造現場でオゾン水はどこに使われる?洗浄・衛生管理の用途と導入時の注意点

目次

日本酒やワイン、ビールなどの酒造現場では、酵母や麹菌などの有用な微生物を利用して発酵を行います。一方で、設備内に不要な細菌や野生酵母、カビが残ると、異臭や異味、酸度の上昇、にごりなど品質トラブルの原因になることがあります。

そのため、製造設備の洗浄と衛生管理(サニテーション)は、安定した酒造りに欠かせない工程です。

近年では、その衛生管理方法の一つとしてオゾン水を導入する酒造メーカーもあります。オゾン水は酸化力を持つオゾンを水に溶かしたもので、反応後は酸素へ戻る性質があります。そのため、薬剤残留や塩素臭を抑えながら設備を衛生的に保ちやすいことから、酒の繊細な香味を扱う現場で注目されています。

ただし、オゾン水はすべての酒蔵で採用されている標準的な洗浄方法ではありません。また、オゾン水だけで汚れを落とせるわけでもなく、洗剤洗浄やCIP(定置洗浄)と組み合わせ、最終工程の衛生管理として利用されるケースが一般的です。

この記事では、酒造現場でオゾン水が使われる設備や用途、基本的な洗浄方法、導入時の注意点について詳しく解説します。

酒造現場でオゾン水が使われる理由

酒造設備には糖分やタンパク質、酒粕、酵母などの有機物が付着しやすく、十分に洗浄されないと微生物が増殖しやすい環境になります。

オゾン水は、このような設備の洗浄後の仕上げ工程で活用されることがあります。

主な目的は次のとおりです。

  • 洗浄後の設備を衛生的な状態に保つ
  • 野生酵母や細菌などのリスク低減を図る
  • 塩素系薬剤特有の臭気を抑える
  • 薬剤残留の少ない衛生管理を目指す

なお、導入方法は酒蔵ごとに異なり、設備構成や製造工程、水質などを考慮して運用されています。

1.仕込み・発酵・貯蔵タンク

代表的な使用箇所が、仕込みタンク、発酵タンク、貯蔵タンクなどの内面です。酒やもろみを排出した後、タンク内に残った米粒、酒粕、酵母かすなどを水や洗剤で除去し、仕上げとしてオゾン水を噴霧したり、洗浄ノズルから循環させたりします。

タンク本体だけでなく、ふた、マンホール、攪拌部、液面計、サンプリング口なども衛生管理の対象です。次回の仕込み前には、必要に応じてオゾン水で最終すすぎを行い、設備を衛生的な状態で使用する運用も見られます。

2.圧搾機・ろ過設備・受け槽

清酒のもろみを搾る圧搾機や、酒を清澄化するろ過設備でもオゾン水が活用されています。これらの設備には酒粕や糖分を含む汚れが残りやすく、微生物が増殖する原因になることがあります。

圧搾板、ろ布の周辺、酒の通り道、受け槽などの汚れを十分に落とした後、オゾン水で仕上げ処理を実施します。特にろ布や細かな隙間は汚れが残りやすいため、オゾン水だけに頼らず、分解洗浄やブラッシングを組み合わせることが重要です。

3.ホース・配管・ポンプ・バルブ

酒をタンクから別のタンクへ移送するホースや配管は、外側から内部の状態を確認しにくい場所です。洗浄不足があると、前の製造ロットの成分や微生物が残り、次の製品に影響を及ぼす可能性があります。

水洗いや洗剤洗浄を行った後、オゾン水をホースや配管内に一定時間循環させます。設備によっては、CIP(定置洗浄)の工程にオゾン水を組み込み、最終的な衛生管理を行うケースもあります。

ポンプ、バルブ、継手、パッキン周辺まで処理することで、配管系統全体を衛生的な状態に保ちます。ただし、流れが止まる行き止まり部分やオゾン水が接触しにくい構造では、設備の改修や分解洗浄が必要になる場合があります。

4.製麹設備・器具類

麹をつくる工程では、目的とする麹菌を健全に育てるため、不要な微生物を持ち込まない管理が重要です。製麹設備の内部、棚、トレー、容器、スコップなどを通常洗浄した後、オゾン水で仕上げ処理を行う方法があります。

また、作業用の布、ブラシ、小型容器などの洗浄に利用されることもあります。ただし、素材によってはオゾンによる劣化が起こるため、ゴム、樹脂、金属部品の耐オゾン性を事前に確認する必要があります。

麹菌を扱う工程では、目的以外の微生物を持ち込まないことが品質維持につながるため、器具類の衛生管理は特に重要です。

5.ワイン樽・瓶詰め設備

ワインの製造現場では、木樽の洗浄後にオゾン水を使用し、樽内部の微生物や残留臭を抑える用途があります。一般的には、温水や高圧水で酒石や汚れを除去した後、オゾン水を接触させます。

ただし、木材の内部まで入り込んだ微生物を完全に除去できるとは限らないため、樽の状態に応じて熱水処理などと組み合わせることが重要です。

このほか、空瓶のすすぎ、充填ライン、充填ノズル、酒の通路、瓶詰め機周辺の仕上げ処理にも利用されています。充填直前の設備を衛生的に保ち、塩素系薬剤などのにおいが製品へ移るリスクを抑えることが目的です。

6.床・排水溝・作業環境

酒造現場では、床や排水溝に糖分、酒粕、酵母などが流れ込み、ぬめりやにおいが発生することがあります。

これらを水や洗剤で十分に洗浄した後、オゾン水を散布して衛生管理に活用する方法があります。壁面、シンク、作業台、運搬容器なども対象となります。

オゾン水洗浄の基本的な手順

酒造設備では、オゾン水だけで洗浄を完了させることは一般的ではありません。十分な洗浄を行ったうえで、最後の衛生管理工程として使用します。

  1. 水で固形物や大きな汚れを洗い流す
  2. 洗剤、ブラシ、高圧水などで付着物を除去する
  3. 水ですすいで洗剤と汚れを取り除く
  4. オゾン水を噴霧、通水または循環させる
  5. 排水・乾燥し、必要に応じて衛生状態を確認する

有機物が多く残っていると、オゾンが汚れとの反応で消費され、期待する効果が得られにくくなります。そのため、「先に洗浄し、最後にオゾン水で仕上げる」ことが基本です。

オゾン水を酒造現場へ導入する際の注意点

オゾン水の効果は、生成時の濃度だけでは決まりません。次のような条件によって変化します。

  • オゾン濃度
  • 接触時間(CT値)
  • 流量
  • 水温
  • 水質
  • 有機物の残存量

実際の設備で試験を行い、末端の吐出口でも必要な濃度が維持されているか確認することが重要です。

また、水から放出されたオゾンガスを吸い込まないよう、十分な換気、ガス濃度の監視、排オゾン処理などの安全対策が必要です。密閉タンク内での作業や換気しにくい蔵内で大量に使用する場合は、特に注意しなければなりません。

オゾン水は仕込み水や酒に直接使える?

オゾン水を仕込み水や製品そのものへ直接使用する場合は、設備洗浄とは別に検討する必要があります。

オゾンの酸化力が酵母の働きや酒の香味成分へ影響を与える可能性があるため、水質や製造工程を含めた十分な検証が不可欠です。

よくある質問(FAQ)

オゾン水だけで酒造設備は洗浄できますか?

いいえ。酒粕や糖分などの汚れは洗剤やブラッシング、高圧水などで除去し、その後の衛生管理としてオゾン水を使用するのが一般的です。

オゾン水はCIP洗浄にも使用できますか?

設備構造によっては、CIP(定置洗浄)の最終すすぎや衛生管理工程に組み込まれる場合があります。

ステンレス設備にも使用できますか?

一般的なステンレス設備では利用されていますが、ゴムや樹脂など一部の材料では劣化する可能性があるため、事前に耐オゾン性を確認することが重要です。

まとめ

酒造現場におけるオゾン水は、仕込みタンク、発酵タンク、配管、圧搾機、ろ過設備、製麹設備、ワイン樽、瓶詰め設備など、さまざまな醸造設備の洗浄・衛生管理に活用されています。

一方で、オゾン水は汚れを落とす洗剤ではありません。通常洗浄やCIP洗浄と組み合わせて使用し、オゾン濃度や接触時間、設備材質、安全対策などを適切に管理することが重要です。

酒造設備への導入を検討する際は、設備条件や製造工程に合わせて運用方法を十分に検証し、自社に適した衛生管理体制を構築することが、品質の安定と安全な酒造りにつながります。

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